Ramana Arul

アルナーチャラ便り 2019年11月

魂の里帰りと女神さまの祭り

 人々がアルナーチャラにやって来ると、みんな幸福になり心の平安を得て、ここを離れたくないと言います。実に、ここは魂の安らぎの場所なのです。アルナーチャラは私たちの魂の源泉です。ですからここにやってきたら、もう、なにもすることなくただリラックスして魂を安ませることです。

 瞑想や「私は誰か」もここではお休みにして、のんびりしていれば自然と楽しくなります。私たちの本性が、源泉が幸福なのですからここに帰ってくることは実家に帰ってくるようなものです。魂の里帰りです。何も考えない、何もしない。修行というアイディアは捨てましょう。努力することを止めましょう。ゆっくりと足腰伸ばして休みましょう。来訪者にとっては、ここは天国です。ああ!幸わせ!!

 その幸せのさなかに女神ヨガアンビカ(ブロンズ像)がナヴァ―ラトリのお祭り、女神さまの祭りの主役として、母堂のサマーディーの祠から輿に担がれて出てこられ、9日間の9変化を演じるマンダパムに落ち着きます。女神は毎夜きらびやかなシルクサリーと宝石で飾られて、ある夜はクリシュナ、ある夜はミナクシ、ある夜はドゥルガーに変身して9日間が過ぎます。

 見る者の内側から引き出された美が女神に投影され、それぞれがそれを楽しむのです。ある人は真正面から、全体の調和ときらびやかさを楽しむ人もいれば、左斜めから、お顔の表情の何とも言えない微笑を楽しむ人もいます。銅像が微笑むというのは変な話です。ですからそれはその人自身の投影を見て楽しんでいるということです。

このようにして9夜は興奮と熱気の内に終わり、女神ヨガアンビカは神殿の中に戻られます。今年のお祭りは9月29日から始まり10月9日に終わりました。

ナヴァ:9、ラトリ:夜 サンスクリット語

(崎山綾子 シュンニャ記)

アルナーチャラ便り 2019年10月

アンナーマライ寺院

アルナーチャラを一周するギリプラダークシナ道路にはアルナーチャラのシヴァリンガを祀る三つの主な寺院があります。

1.アルナーチャレシュワラ大寺院:
町の真ん中に位置する八つのゴプラム(タワー)を持つ雄壮な寺院。

2.アディアンナマライ寺院:
ラマナアシュラムの真裏に位置するギリプラダクシナ道路にある。
この寺は町の大寺院よりも古くに建立されたと言われている。

3.ティルネールアンナ―マライ寺院:
サンスクリット語アルナーチャラのタミル語がアンナ―マライ。
2004年に荒れ果てたマンダパㇺ(巡礼者が休める屋根のついたオープンスぺイス)が修復されてアンナマライ寺院となる。
ニルディリンガムを過ぎて100メートル位行ったところに位置する。
このお寺は日本ラマナ協会会長、故柳田侃先生と深いご縁がある。

柳田先生が1995年にポストオヒィス道路にご自分の住居を建設されて2000年までそこに住まれた。その間、先生は毎夜2時にギリプラダクシナに行かれた。その5年間のギリプラを通じて、元ニルディリンガムの管理者、エラッパスワミとの間に無言の友愛関係が成長したと私に語られた。そのエラッパスワミの努力でマンダパㇺが修復されることになったので、先生はこのお寺の修復費用を心から援助された。

今日は柳田先生ゆかりの、そのお寺に行ってみました。

ある日曜日の夕方五時に部屋を出て、アシュラムに行こうとスクータを向けたのですが、それとは反対方向のギリプラロードに行ってしまった。ニルディリンガムを過ぎ、アンナ―マライ寺院でスクータは止まった。日曜日なのに人混みがかなり少なかった。なんとなく寺の周りを散歩していると、ふと目に留まった浮彫の小さな像に向かって行った。ニームの樹の下に静かなスポットを見つけた。目の前は沐浴所で大きいウォータータンクには水がなかったが周りは森で囲まれている。その階段に腰を下ろし、夕陽が沈むのを見つめた。

寺に戻ってみると、エラッパスワミがおられて会釈を交わし合い、アンナーマライリンガを礼拝した。スワミは何かアルナチャーラを賛美する詩を唄い始めた。意味が分からなくても、何の気どりもない唄い方で聞いていると楽しくなってきた。突然、スワミが頭をリンガから180度回転させた。何と、そこには実物のアルナーチャラがそびえていた。私はもっと楽しくなった。心躍りながらウンナマライのサンクタムに足を向けた。この女神さまの顔の表情が実に愛らしく、帰依者の心を幸せで満たしてくれる。スワミはまだ唄い続けている。ふと、二人のオレンジ色の布をまとったサドゥ-たちに目が留まった。二人はマンダパㇺの入り口の両サイドの角に、向かい合う形で座っていた。二人とも静かだ。その無努力の静けさに心打たれた。一人のサドゥーの唇がかすかに動いているのが見えた。おそらく、自然に起こるジャパかマントラを唱えているに違いない。もう一人はただ静かにしている。まれにみる真のサドゥーたちだ。私はもっともっと楽しくなってくる自分に気づいていた。私も無人のベンチに座って、静かにアルナーチャラを見上げた。するとアルナーチャラが微笑んだ。

(シュンニャ 崎山 綾子 記)

アルナーチャラ便り 2019年9月

ADVENT DAY(アドヴェント デェイ)

9月1日はシュリラマナマハルシがアルナーチャラに到来された記念日です。

16歳のヴェンカタラーマンが彼の父の死後、寄宿していたマドライの叔父の家を出立し てアルナーチャラに向かったのは1896年8月28日でした。突然起こった「死の体験」 を得て、真我を実現してから6週間程経った頃でした。この体験が彼の人生を大きく変える 結果になったのです。十分な旅費を持ち合わせていなかったヴェンカタラーマンがティルヴ ァ-ンナマライに到着するのに4日かかりました。直通列車だと二日で到着したところです。

9月1日、ヴェンカタラーマンがティルヴァ-ンナマライに到着するや否や、一目散にア ルナーチャレシュワラの神殿に駆け込み、リンガを抱擁し、「あなたの命令により、私はや って来ました。」と歓呼し、涙するのです。その後、近くの沐浴場に行き、腰巻を割いて作 った褌以外、衣服、持っていたわずかな金銭、食べ物もすべて捨て去り、そして、剃髪しまし た。彼の決意は神への絶対的な降伏にあったのです。「私は何も必要ありません。神の意志 によってこの身体は生きてゆくのですから。どうか、あなたの意のままに。もう何も言うべ きことも、するべきこともありません。」そして、沈黙だけが残り、サマーディーが彼を待っていました。

毎年9月1日、この事実を回想し、この完璧な明け渡しの美しさに胸を打たれるのは私だけでしょうか?

(シュンニャ 崎山 綾子 記)

Advent: 重要な人物の到来
参考文献:ラマナマ・ハルシの伝記 賢者の軌跡 (ナチュラルスピリット社)

アルナーチャラ便り 2019年8月

ラマナアシュラムには知らず知らずのうちに引き寄せられて座ってしまう場所がいくつもあります。

その一例が、バガヴァーンの恩寵で解脱して去った Cow Lakshmi のお墓のまわりにある石のベンチや階段なのです。最初は何の意図もなくただ座っていると、不思議なことに楽しくなるのです。元気になるのです。全てが美しく見えてくるのです。

その理由がやっと分かった日がありました。分かるきっかけになったのは、バガヴァーンの長年の付人であったクンジュスワミの回想録に書かれた、「聖者の死体」について聖典ウパニシャッドからの引用文を読んだときでした。

「解脱した聖者の死体からはハートそのものに内在し続ける生命力が常に発せられ、決して消えることはない。もし、サマーディーが正しく維持され、信仰を抱いて墓に接近する帰依者には測り知れない至福が授けられ、願い事も叶う。」

実は、Caw Lakshmi の遺体から目に見えない繊細な波長が発せられていて、それがこころと身体を癒し、平安を与えてくれていたのですね。

それと同じ事が母堂のサマーディーであるマツワブーテシュワラ寺院、バガヴァーンのサマーディーホールでも起きているのです。

三つの聖墓をかかえたラマナアシュラム、そして、その背後にそびえる聖山アルナーチャラ。ここは世界のパワーセンターであると言われても不思議はありません。

今年の Caw Lakshmi day (命日)は7月13日、土曜日でした。

(シュンニャ記)